インターネットの世界では、指先一本のわずかな力で、恐ろしいほどの大きなパワーを生み出すことができます。
例えば、1万人にひとりひとり電話をかけるなんてとてつもなく大変だけど、一斉メールなら送信ボタンをポチッとクリックするだけで何万人にだって一瞬で用件を伝えることが可能です。
webサイトなら、こちらが寝ていようが遊んでいようがおかまいなしに24時間365日、勝手にアクセスしてもらって自動でモノを売ることができます。
小さなお店では、1万人の来客なんてとてもじゃないけどさばけませんよね?
でも、webサイトなら1万アクセスなんて、さほど多いわけではありません。
そう。
ネットなら、何もかもケタ違い。
だから、ひとたびお金を産み始めたら、すごい勢いで膨れ上がっていくこともしばしば。
まだハタチにもならないような若者が、ご両親の生涯賃金を軽く超えるような大金をネットビジネスでペロンと稼ぎ出してみたり、冴えない引きニートが一発逆転、フェラーリを乗り回して美女を侍らせるセレブ社長に成り上がってみたりと、シンデレラドリームを叶えた話が毎年のように出てきたところで「あぁ、またか」ってなもんですよ。
だからだから。
そんな華々しいサクセスストーリーに続けと、毎年たくさんの人が鼻息荒くこの業界に参入してきます。
そしてまた、誰か新しいシンデレラが億万長者の仲間入りをするんです。
でもね。
新しく生まれたネットビジネス億万長者の足もとには、有り金はたいて待ってたのに魔女が来てくれなかったシンデレラたちの残骸がうずたかく積まれているのも事実。
そう。
神に選ばれしシンデレラになれるのは、ごくごく限られたほんの一握りの人だけ。
それ以外の、神に選ばれなかったその他大勢は、何十万円も取られた挙句あとは野となれ山となれって放り出されてハイ終わり。
でもさー。
そんな、いかにも怪しげなネットビジネスに大金を注ぎ込んでおいてやっぱダメでしたーなんて、自業自得じゃね?
ってなことを思っちゃう人もいるでしょう。
まぁ確かに自業自得の部分もあるんでしょうけど、あながち全てその通りとは言えないんですよね、実は。
中には、はじめからお金だけむしり取るつもりでサギまがいのセールスをかけてくるような連中もいます。
でも多くの場合、スキルやノウハウのミスマッチや意図せず過熱した椅子取りゲームが原因だったりするんです。
罪つくりなアオリが悲劇のはじまり
ネットビジネスに限った話ではないのですが、言葉の魔術が人を惑わせ判断を狂わせるなんてよくある話じゃないですか。
例えば、「クラシカルで落ち着いた雰囲気の物静かな宿です」と「古くてボロくて誰も来ないうらぶれた宿です」だと、おんなじことを言っているのにずいぶん受ける印象が変わりますよね。
「大人しくて控えめな性格」という紹介なら好印象を与えますけど「根暗」だと紹介されたらドン引きしちゃうとか、「明るくどんな時もはつらつとしていてとても活動的」だと好印象なのに「いつも騒がしくて落ち着きがなく場の空気が読めない」という言葉に置き換えると一気に問題児に見えてきたりね。
言葉の魔術って、ちょっとした言い回しの差で受ける印象を大きく変えてしまうパワーを持っているんです。
例えば、メルマガアフィリエイトとかね。
「メールが打てるならメルマガアフィリくらい余裕でできるよ」みたいに言うわけですよ、売る方は。
いかにもチョロいよ〜みたいなね。
んで、「稼げる金額は無限大!メール1通でウン百万!人によっては億単位だって普通にありえます」とかね。
まー、間違ってはいないわけですよ。
確かにメルマガなんてメールを書くだけですからね。
んで、何年もメルマガを書かずに放置しちゃってた私ですら、数年ぶりに1通書いたら200万とかね。
ホント、稼げる金額のデカさは群を抜いてますから。
でもあれ、「いくらなんでも私だってメールくらい打ったことがあるわい」って額面通りに鵜呑みにしてたらエラい目に遭いますからね!?
ただでさえ迷惑がられてまともに読んでもらえない「メルマガ」という媒体で、一本何万円もするような商品を、会ったこともない読者に買わせるわけですから。
かなり高度なセールステクニックとか文章力とかがないとまともに戦えないのですよ。
だから私たち、まともに稼げるようになるまで結構なお金も使ったし、かなりの時間を勉強に使ったりしてそれなりに努力してますからね?
ってことで、確かにメールが打てればメルマガアフィリはできるんでしょうけど(”稼げる”とは言ってない)、実際のところまかり間違っても「メール打ったことがある」程度で太刀打ちできる手法じゃないの。
普段からマーケティングやコピーライティングを扱っているとか、日常的に文章を書く仕事をしているとか、そういう事情でもあれば別なのかもしれませんけどね。
ってな具合で、「あながち間違っているわけではないんだけど、その言い方は誤解を招くよ」という言い回しにまんまとやられてしまったというケース、意外と多いんですよ。
ネットだと買うまで中身が見えないですしね。
「難しいスキル不要!簡単な作業だけで稼げる」って、あたかも楽して稼げるかのような触れ込みのノウハウ商材が、よくよく読んでみたら「簡単な作業ではあるんだけど朝から晩まで休みなくひっきりなしに働き続けないと稼ぎにはつながらない」という悪魔のような手法だったとかいうのもありました。
いやいやハムスターじゃあるまいし、自由になりたくて始めたネットビジネスにがんじがらめにされてどうするよ!?
ね?
表立ってスポットライトが当たる部分があるのなら、必ずその裏もあるんです。
表向き、「たくさん稼げます(でも難易度が高いです)」とか、「簡単な作業で稼げます(でも作業量がものすごく多いです)」とか、「稼げるまですごく早いです(でも広告費など高額な経費が必要です)」といった具合に、光の当たらない部分に大きなネックがあったりするのです。
そして、その影に隠れたネックの部分に、気合いや根性ではどうにもできない物理的なミスマッチが潜んでいる可能性があります。
例えば、会社勤めをしている人にとって、ネット副業に使える時間はあまり多くはないでしょう。
そんな状況ではいくら「簡単な作業だけで稼げる」と言っても、寝る暇もないほど忙しく作業をしなければいけないノウハウは無理ですよね。
興味も関心もないアイドル情報を朝から晩まで追いかけ回して記事にしなければいけないとか、電子レンジや洗濯機の使い方すら怪しいのに電子機器のパーツや型番の話ばかり考えなきゃいけない、といった風に「好きになれそうにない作業の連続」に苦しめられるケースだってあります。
安易に「楽チンそうだから」「いっぱい稼げそうだから」「早くお金が欲しいから」みたいな理由だけでノウハウを選ぶのではなく、自分の力量や生活スタイルに合ったものを選びたいですね。
頭使わない系の落とし穴
とはいえ、さしあたってお金がないとか仕事がうまくいってないとかで、寝ても覚めてもカネカネカネカネってお金の心配ばかりの強い不安やストレスの中で生活していると、「1日3クリックで稼げる」「スマホを10分ながめるだけで稼げる」みたいなあからさまにダメなヤツについフラフラと流されたくなる気持ちもわかります。
私もワーキングプアの経験があるもんで。
人間、あまりにも追い詰められると「ダメだワナだダマされる」って頭では分かっていても「でもひょっとして・・・」ってバカな可能性に賭けてみたくなるもんなんですよねー。
しかもさ。
ごくまれに、ちょっと頭のおかしな人が本当に1日3クリックで1億円稼いじゃったりするもんだから余計にタチが悪くて「それなら私も逆転ホームランが打てるんじゃないか」って思わずにはいられなくなっちゃうのよ。
「こんなチョロい作業だけでドッカンドッカン稼げる」「72歳のシニアでも稼げた!」「パソコン音痴のおかんでも稼げた」って、頼んでもないのにドカドカ届くようになってしまったスパムメールに「ダ、ダ、ダメもとで私もちょっとやってみようかな」なんてつい魔がさしてしまいそうになるそこのアナタ、ぎくっとしたら私にメールしてください。
往復ビンタで止めてあげるから。
ってかさ。
1日3クリックだのコピペで稼げるだの、いくらなんでももうチョイ頭を使いなさいよ。
どう考えても最初から破綻してるでしょーが!?
まぁ、もし仮にうっかり3クリックで本当にお金が稼げたとしてもね。
そんなものが向こう何年も稼ぎを生み出す「ビジネス」になりうると思いますか?
ビジネスってね。
”価値”と”価値”の交換なの。
こちらが商品なりサービスなり提供し、対価としてお金をもらうの。
単にお金をむしり取るだけならそれは詐欺師かオンライン乞食。
ビジネスなんかじゃありません。
だって永続しないでしょ?
お客さんにお金を払ってもらう価値のあるものを、たった3クリックでどうやって提供できるのかって話だし、コピペで稼げるなんていうけど他人のコンテンツで勝手に稼げば権利侵害で訴えられちゃいますからね?
そういう、いかにも難しいことを考えなくてもよさそうなノウハウのことは「頭使わない系」などと呼ばれたりするんですけど、「3クリックで稼げる」「コピペで稼げる」など、いかにもキャッチーな感じなので実はそれなりに人気があるんです。
そりゃ、言われたことを言われるがままにやってるだけでお金になるなら楽チンだし、ひょっとしたら億単位の稼ぎが生まれるかもしれないと思えば胸も熱くなるってもんですよ。
ただ、この手の頭使わない系ノウハウって、もともと非常に競争率が高いというか椅子取りゲームが熾烈すぎるというか、まともに稼げるようになる人はごくごく一握り。
しかも「自分で考えて今後のビジネスにつなげていく」という思考回路が欠落しており「お金払って待ってたのに魔女が来なかったシンデレラ」が大量に生まれる一因でもあります。
真のシンデレラは魔女を待たない
どこの世界だろうが、楽して簡単に稼げるビジネスがあればあっという間に人が群がってしまい、すぐに飽和してちょっとしか稼げなくなったり、そもそもの参入ハードルが跳ね上がったりするもんです。
ネットビジネスだって例外ではなく、大ヒットノウハウともなればたった数日で万単位の新規参入者が雪崩れ込んで来ることも。
当然、とてつもなく熾烈な椅子取りゲームが繰り広げられ、最後の1人になるまで鉄球をぶつけ合う魁ドッチボール並みのデスマッチを戦い抜いてようやく「楽して簡単に億万長者になれる」権利を得るという、しんどいんだか楽なんだかよくわからない競争に巻き込まれたりするのですよ。
つまりだ。
「シンデレラになって楽して稼ぎたい」と思う、万単位の新規参入者に埋もれないようにどうにか魔女の目に留まり、魔法をかけてもらわなきゃはじまらないわけです。
だから、とにかくなんでもいいから目立つことをして魔女の目を惹きつけるのか、もっと競争率の低そうな魔女を探す道を選ぶのか、ちょっとでも競争率を下げるためにライバルを蹴落とすのか、選択を迫られることになります。
そう。
ただ待ってるだけじゃダメ。
「お金払ったんだからそのうち来てくれる」なんて甘いこと言ってたら、必死でアピールしているライバルたちに全部持っていかれちゃいますよ。
でもね。
本当にシンデレラドリームを叶えたいなら、そもそも「シンデレラ」という立場で「魔女を待つ」こと自体がナンセンス。
よく考えてみてね。
イス取りデスマッチに一番近いところで、アホな競争に巻き込まれることなくがっぽり稼げている立場の人、確実にひとりいるでしょ???
そう。
その人。
つまり、「1日3クリックで稼げる」だの「コピペで稼げる」だの、思わずホイホイついて行きたくなるようなセールスを仕掛ける側の立場になるにはどうしたらいいかを考えろって話。
シンデレラドリームを叶えるのは、シンデレラじゃないの。
最初から目指すべきは神に選ばれしシンデレラではなく、いつでも自由に魔法を操れる魔女なのですよ。
もちろん、インチキはダメ。
だってビジネスは価値と価値の交換だもの。
迷えるシンデレラに魔法をかけて、ちゃんと報酬がもらえるようなスキルアップや仕組み作りが大事ってこと。